よくニュースやtwitterなどで見る「アルゴリズム取引」という言葉。
名前はよく聞くし、アルゴリズムによって取引されてるんだろうなとフワッとしたイメージは沸きますがイマイチよくわからないので調べてみました。
アルゴリズム取引とは?
アルゴリズム取引とは、あらかじめ決められたプログラム(アルゴリズム)に基づいて株式取引などを行う手法です。
注文のタイミング・価格・数量・約定後の管理などを人間の関与を極力少なく、または人間の関与なくコンピューターが自動的に取引していきます。
なかでもHFT(High Frequency Trading)と呼ばれる高速取引はミリ秒(1000分の1秒)や数十マイクロ秒(1マイクロ=100万分の1秒)単位での取引が可能となっていて、人間の取引スピードをはるかに超えています。
アルゴリズム取引のメリット
圧倒的なスピード
ミリ秒(1000分の1秒)や数十マイクロ秒(マイクロ=100万分の1秒)単位での高速取引ができることは、株式取引の世界では圧倒的な優位性を誇ります。
人間が判断して発注するまでの数秒〜数分の間にアルゴリズム取引では何十回・何百回以上という取引を繰り返すので、あっという間に値段が動いてしまいます。
投資判断の合理化
あらかじめプログラムされているアルゴリズムに基づいた取引をするので、人間の感情が入る余地がありません。
そのため、投資判断も感情に左右されることなく合理的なものとなります。
人件費の削減
有名な投資銀行であるゴールドマンサックスでは2000年には600人のトレーダーを抱えていて、そのトレーダーたちが顧客からの注文に応じて売買をしていました。
しかし、2017年にはゴールドマンサックスのトレーダーは2人になり、代わりに200人のコンピューターエンジニア達が自動取引プログラムの運用をしているそうです。
ゴールドマンサックスをはじめとする大手投資銀行のトレーダーの平均年俸は70万ドル(約7800万円)とも言われており、トレーダーの数の削減は投資銀行にとっては大きな利益となります。
アルゴリズム取引のデメリット
ボラティリティ(価格変動)の拡大
アルゴリズム取引では高速で数多くの取引を繰り返すことができてしまうため、取引中の値動きが非常に激しくなります。
そのため、ボラティリティが大きくなってしまったり、経済指標の発表や要人発言などのイベントへの過剰反応も懸念されています。
実際に2010年5月にはダウ平均株価が数分の間に突如として1000ドル以上下落するという現象がありました。
これはあるHFTが株価のわずかな下落に反応して大量の売りを出し、その大量の売りに反応した他のHFTがさらに大量の売りを出すという連鎖反応が起きたことが原因だったと言われています。
アルゴリズムにない相場への対応
今回のコロナショックでの急激な株価の乱高下は、このアルゴリズム取引によるものではないかとも言われています。
アルゴリズム取引に使われるデータは過去10年くらいのものということです。
10年以上前のデータになると、現在の株式市場と状況が違いすぎて使えないというのがその理由だそうです。
そのため、前回の金融危機である2008年のリーマンショックのような相場はアルゴリズムの中に組み込まれていない可能性があり、コンピューターが株価の急激な下落に対応できずひたすら売りまくってしまったのではないかという意見もあります。
個人での導入は難しい
アルゴリズム取引の導入には高価な機材や高度なプログラミングスキルの習得などが必要なため、個人での導入は非常に敷居が高く、機関投資家向けのツールという側面が強いです。
アルゴリズム取引に個人投資家が立ち向かうには
ここまで見てきたように、アルゴリズム取引は人間が太刀打ちできないようなスピードや情報量を持っています。
では、私たち個人投資家はそんな世界でどのように戦っていけばいいのでしょうか?
証券会社のツールでアルゴリズム取引を行う
個人で導入するのは難しいアルゴリズム取引ですが、各証券会社の取引ツールの中にアルゴリズム取引を使えるものが出てきています。
例えば、楽天証券の「マーケットスピード」では「アルゴ取引」という名前で5つのアルゴリズム取引を行うことができます。
アイスバーグ注文
2000株を200株ずつ10回に分けて注文するなど、大口注文を小分けにして自動注文する機能。
板が薄い銘柄は、大口注文して一度に板に出てしまうと他の投資家に見えてしまい、株価を動かされてしまう可能性があります。
小分けで注文することで、板に出る株数を減らして他の投資家にバレないように注文することができます。
スナイパー注文
指定した価格の気配が出るまで発注せずに待機しておいて、気配が出た瞬間に自動で発注する機能。
これもあまり取引が活発ではない銘柄を大口注文する際に他の投資家に悟られることなく注文することができます。
トレイリング注文
逆指値注文を設定しつつ、株価が自分にとって有利な方向に動いた場合は逆指値価格を自動で修正してくれる機能。
損失額は限定しつつ、利益の拡大を狙えます。
リザーブ注文
日時や株価を指定して発注できる機能。
決算発表や経済指標の発表などのイベントに合わせて取引をするときに便利な機能です。
通常注文では設定できない値幅制限外の価格設定も可能です。
リンク注文
最大10個の注文を連続して登録できる機能。
銘柄や売買の種類に関わらず、自由に組み合わせられます。
事前に設定した注文が約定すれば次の注文が自動的に発注されるので、平日に忙しい人は週末に気になる銘柄を仕込んでおくことができます。
個人投資家の強みを生かす
このように、個人でも使えるツールが証券会社からも出てきているので一度試してみるのもひとつの手ではないかと思います。
また、これはアルゴリズム取引だけではなく機関投資家と戦うための戦術にもなりますが
個人投資家の強みを生かすということも大事なことだと思います。
機関投資家と個人投資家の違いは「個人投資家には時間の自由がある」ということではないかと思っています。
機関投資家は運用成績が求められるので、有利な相場でも不利な相場でも取引を続けていかなければいけません。
しかし、個人投資家には時間の制約はありません。
相場が不安定でどう動くのかわからない時や、自分にとって不利だなと思うときには取引をしないという選択ができます。
自分が勝てると思ったときに取引をして、それ以外は休むというのもアルゴリズム取引に勝つための立派な作戦と言えるのではないでしょうか。



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