3月・9月・12月は企業の決算が多い月です。
ニュースなどでも頻繁に企業の利益の話が出てきますが、
「〇〇利益ってなんか色々ない?」
って思ったことありませんか?
今回はそんな決算に使われる利益の種類について調べてみます。
利益の種類は5種類
企業の経営状態を見るためには財務諸表というものが使われます。
いわゆる決算書です。
その中で利益を見るものが損益計算書です。
損益計算書に登場する利益は5種類あります。
- 粗利益
- 営業利益
- 経常利益
- 税引前当期純利益
- 当期純利益
これらについて1つずつ見ていきましょう。
粗利益
粗利益とは売上総利益とも呼ばれ、その事業年度中の儲けを指します。
損益計算書の中で一番上に記載される利益で
「企業が本業でどれだけ利益を出したか」がわかります。
粗利益の計算方法
粗利益=売上高ー売上原価(製造原価)
で求められます。
小売店を例に出すと
原価1個1000円の商品100個を小売価格2000円で販売した場合
(小売価格2000円ー原価1000円)×100個=粗利益100000円
となります。
原価とは
原価とは材料費や人件費などのことです。
原価には「売上原価」と「製造原価」があり、
小売業では人件費は「販売費」となるため売上原価に含まれませんが、製造業の場合は人件費も製造原価に含まれます。
営業利益
営業利益の計算方法
営業利益=粗利益ー(販売費+一般管理費)
で求められます。
販売費とは
販売費は「商品を販売するためにかかった費用」です。
小売店の人件費・広告宣伝費・商品の搬送にかかった運送費などがこれに当たります。
一般管理費とは
一般管理費は「会社全般の管理活動にかかる費用」です。
直接製造や販売に関わっていない部門の人件費、減価償却費、交際費、旅費交際費などがこれに当たります。
経常利益
経常利益とは「企業が行なっている全ての業務で得た利益を足したもの」です。
経常利益の計算方法
経常利益=営業利益+営業外収益ー営業外費用
営業外収益とは
営業外収益とは「本業以外の事業で得た利益」のことです。
例えば本業が小売業の会社が不動産を所有していて、その不動産から家賃収入が発生した場合などがこれに当たります。
しかし、保有する不動産の売却で発生した利益は特別利益として扱われるので営業外利益には含まれません。
特別利益については「税引前当期純利益」の項で触れます。
他にも株や債権などの有価証券の売却益なども営業外費用利益に含まれます。
営業外費用とは
保有する有価証券などの売却で損が出た場合は「営業外費用」として経常利益から差し引かれます。
税引前当期純利益
税引前当期純利益は「経常利益と特別利益を合わせたもの」です。
税引前当期純利益の計算方法
税引前当期純利益=経常利益+特別利益ー特別損失
で求められます。
特別利益とは
特別利益とは「通常は発生しないが、臨時で出た利益」です。
営業外収益の項で書いた「不動産の売却益」がこれに当たります。
特別損失とは
逆に、特別損失は「不動産などの固定資産の売却損」などです。
税引前当期純利益が必要な理由
税引前当期純利益は企業が支払う法人税・住民税・事業税などが差し引かれる前のものです。
これによって納税前に企業にどれだけの過処分利益があるのかを知ることができます。
また、特別利益や特別損失は毎年定期的に発生するものではありません。
損益計算書で、本業の利益(営業利益や経常利益)と関係がない特別損益を分けて書くことで、金融機関や投資家がきちんと把握することができます。
当期純利益
当期純利益は「当期の企業活動でどれだけの利益が出たか」です。
当期純利益の計算方法
当期純利益=税引前当期純利益ー(法人税+法人住民税+法人事業税など)
で求められます。
企業への株式投資の指標にも
株価を1株当たりの当期純利益で割ることで「株価収益率(PER)」が求められます。
PERはその企業の株が割高か割安かを測る指標として投資の世界で使われています。
他にも「自己資本利益率(ROE)」を計算する際にも当期純利益が使われます。
当期純利益には特別損益が含まれる
しかし、当期純利益には特別損益が含まれています。
これはその年の臨時収入や臨時支出が含まれるということなので企業の信用度まで測れるわけではありません。
まとめ
今回は決算書の中の損益計算書に記入されている利益について調べてきました。
結局どの利益が大事なんだ?
と思われる方もいると思います。
注目すべきは「営業利益」と「経常利益」
今回紹介した5つの中だと「営業利益」と「経常利益」の2つが重要な利益といえます。
営業利益は本業がどれだけ儲けているか
経常利益は企業全体でどれだけ儲けているかを表すものです。
本業で赤字が出ていても、本業以外の部分で大きな利益が出ている場合もあったり、もちろんその逆に本業は好調なのに本業以外で大きな赤字が出ているというパターンもあります。
自分が何を調べたいのかによって、その2つの指標を使い分けていくことでその企業のことがよりわかるのではないかと思います。
決算書の読み方がわかると、投資をする際にファンダメンタル面からの判断も下しやすくなります。
今後また利益以外の別の項目についても調べていきたいと思います。




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