原油価格と経済の関係と言われてもわかりづらいですよね。
ニュースで「原油価格の下落によって株価も下落」などと聞いてもどうしてそうなるのかわからない。
今回はそんな原油価格と株価や為替相場との関係を調べていきます。
原油と石油の違い
まずはじめに、「原油」と「石油」の違いとはなんなのか?
原油とは「掘り出されたままの未精製の状態のもの」
石油とは「原油を精製して、工業製品に使えるようにしたもの(ガソリンや灯油など)」
原油も石油も厳密な違いは無いようですが、調べてみると以上のように書かれていました。
原油の産出量世界一はアメリカ
原油や石油といえば中東をイメージする方が多いと思います。
石油王も中東の王様みたいなイメージです。
しかし2018年の石油産出量ランキングでは
1位 アメリカ(日量1095万バレル)
2位 ロシア(日量1075万バレル)
3位 サウジアラビア(日量1042万バレル)
という順位になっています。
アメリカが1位というのは意外かもしれませんが、これはシェール革命によってシェールオイルの商用化が進み、生産量が増加したことによるものです。
原油の消費量世界一もアメリカ
そして原油の消費量ですが、これもアメリカが世界一となっています。
世界一の経済大国であるアメリカが消費量世界一なのは納得といった感じでしょうか。
消費量ランキングは
1位 アメリカ(日量1988万バレル)
2位 中国(日量1280万バレル)
3位 インド(日量469万バレル)
4位 日本(日量399万バレル)
つまりアメリカは世界一の産油国でありつつ、世界一の消費国でもあるという状況です。
原油はドル建てで取引されている
OPEC加盟国による、石油の輸出による経常黒字で貯められたお金のことをオイルマネーと呼びます。
一般にはオイルマネーと呼ばれますが、原油取引市場で使われる国際決算通貨はドルが大半を占めていることから「オイルダラー」や「ペトロダラー」と呼ばれることもあります。
この原油の取引がドルで行われているという事が、原油価格と世界経済の関係に関わってきます。
原油価格とドル価格の動きは逆になる
一般的に、原油価格とドル価格は逆に動くと言われています。
原油がドル建てで取引されているということは、アメリカ以外の国から見ると
原油価格自体に変化がなくても、ドル高(自国通貨安)になれば実質的に原油価格も高くなってしまうということです。
原油価格1バレル=100ドルで日本から見た場合を例としてあげてみます。
1ドル=100円から1ドル=110円の円安ドル高になる
↓
原油価格自体は変わらないが、ドル高によって1バレル10000円で買えてたものが1バレル11000円になる
↓
原油価格の実質的な上昇によって需要が減る
↓
原油の需要減少によって実際の原油価格が下落
このように、ドル高になるとその結果として原油価格は下がります。
逆も然りで、ドル安になると原油価格は上昇します。
原油価格が下がると株価が下落する
次は原油価格と株価の関係です。
上にも書いたように、オイルマネーの多くはドルです。
中東ファンドのオイルマネー
そして、世界の株式市場に大きな影響を与えるのが中東ファンドの存在です。
産油国世界一の座をアメリカに奪われたとはいえ、中東のオイルマネーは非常に潤沢です。
その潤沢なオイルマネー=ドルは日本円で270兆円とも言われています。
そんな大量のオイルマネーが株式市場に流通している中、原油価格が下落するとどうなるか?
原油価格の下落は中東の国の経済状況を悪化させます。
経済状況が悪化すると投資していた資金を引き上げ現金化しようとします。
そうして中東ファンドが保有していた株式が大量に売られて株価が下落してしまうというわけです。
アメリカのエネルギー関連株
アメリカのS&P500でのガス・石油関連銘柄は全体の約6%ほどを占めています。
原油価格の下落はエネルギー関連銘柄の株価を直撃するので、アメリカの株価も下落してしまいます。

原油価格の下落はアメリカ株・ドル両方の下落につながる
先ほど「ドルが上昇すると原油価格が下落・ドルが下落すると原油価格が上昇する」と書きました。
「話が違うじゃ無いか!」と思われるかもしれませんが、それはドル相場の変動が先行した場合です。
上でも述べた通り、原油価格の下落はアメリカ株の下落を誘発します。
株価が下がると、投資家はアメリカ株を売って安全資産と言われるアメリカ国債などを購入します。
アメリカ国債が買われることによってアメリカの長期金利が下落します。
アメリカの長期金利が下落すると他の国の通貨が買われてドル安となります。
日本の場合を例に書いてみます。
原油価格が下落
↓
アメリカ株価が下落
↓
アメリカ株が売られアメリカ国債が買われる
↓
国債が買われることでアメリカの長期金利が低下
↓
長期金利の低下によりドルが売られて円が買われる
↓
結果、円安ドル高になって日本の株価も下落する


このように、原油価格の下落が先行した場合は株安からのドル安という展開になることも有り得ます。
最後に
ここまで、原油価格と株価・為替との関係について調べてきました。
最近では、アメリカやロシアなどのOPEC非加盟国の台頭によって原油価格の安売り合戦のような様相を呈してきています。
原油価格の下落は、私たちの生活にも関わる問題です。
- ガソリン代が安くなる
- 輸送コストが下がる事で商品の値段が下がる
などのメリットが取り上げられることも多いです。
しかし、急激な原油価格の変動は世界経済に大きな影響を与えてしまい、原油価格の下落が発端となる金融危機も起こっています。
日々の株価や為替だけではなく原油価格をチェックすることも投資行動の助けになるのでは無いかと思います。






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